株式譲渡制限会社=非公開会社というのが、重要なキーワードになります。

「譲渡制限をつけると、うちの会社の株式は売れないのでしょうか?」

いいえ、そんなことはありません。株式は自由に売り買いできます。ただ、譲渡制限をつけると、ほんの少しばかり普通の株式に比べて、売買するときに制限がつきます。
ほとんどの株式会社は、「当社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない」という規定を設けています。会社の定款や登記事項証明書を見れば書いてあるはずです。

これは「株主対策です」。株主が、会社に取って好ましくない人に株式を売ってしまったら、会社は困ります。いわゆる、日本放送とフジテレビの乗っ取りなども記憶に新しいところでしょう。

この譲渡制限規定がある場合は、株主が黙って株式を売ることを認めず、必ず「会社の承認を得ること」という条件を付けていますので、株主が勝手に株式を売ることを防げます。実質的には会社が買取るという形になるのですが。

「我が社は上場していないのに、関係ないだろう。」

いえいえ、例えは悪いのですが、社長に何かあって、何人かの相続人に株式が分割されてしまった場合、株式はドンドン色々な人の手に渡る可能性があります。ですから、会社の規模に関係なく、株式譲渡制限規定は大事なのです。

しかし、上場会社は、このような制限があると市場で売買できませんので、この規定を設けていません。
つまり、譲渡制限があるかないかは会社の大きさによりますので、以下のようになります。

○全て又は一部の株式に株式譲渡制限規定がない会社→公開会社になります。

全ての株式に譲渡制限のある会社→株式譲渡制限会社
株式譲渡制限会社は、非公開・閉鎖会社ともいいますが、中小企業を想定しています。そのため、次のような制度を認めています。

1. 取締役会を置かなくてもよい。
2. 役員の任期を最大10年まで延長できます。
3. 監査役の権限を会計監査のみに限定できます。
4. 株主からの請求がなければ、株券を発行する必要はありません。

全て「定款」への記載が必要になります。